医王如来とは薬師如来の事。
製薬会社の方に医療に関係があると教わる。
東洋医学の研究にも資するものと、
令和5年の夏、晴天に誘われて薬師寺に向いました。
国宝の塔が修復されてからは初めてです。
薬師寺は飛鳥時代の天武天皇により発願され、現在の地には718年に移されます。
日本で初めて伽藍に二つの塔が建てられた、薬師如来を祀る寺院。
(奈良時代であり、第44代元正天皇の時、元号では養老2年。皇紀では1378年となる。)
因みに、玄奘三蔵がインドより経典を唐に持ち帰ったのが645年(唐の元号では貞観19年)。

薬師如来は正確には薬師瑠璃光如来といい、
瑠璃とは青い宝石のラピスラズリを指します。
この薬師如来がおわす場所が、東の地の瑠璃光浄土である。
「東が青」となると中医学の人間としては、反応してしまう訳です。
薬師如来をサンスクリット語で言えばバイシャジャグル(भैषज्यगुरु)である。
「バイシャ」が”医療”で、「グル」が”師”であり、「医の師」で”薬師”となる。
左手に、”いくら使っても無くならない薬壺”を持っているのが特徴の如来。
医療の道に入り、薬品メーカーの方より教わり、参拝に至るとなると
身が引き締まります。
この時期はヨーガのティーチャートレーニング(RYT200)を学んでいる時期であり、
インドとの繋がりに好感を抱かずにはいられません。
古代のインドには六派哲学があり、サーンキヤ学派もその一つ。
その中には自我を表すアハンカーラ、
五つの微細元素(パンチャ・タンマ―トラ)と、
それに呼応する五大要素(パンチャ・マハブータ)がある。
心を表すマナスがあり、
五つの感覚器官(パンチャ・ジュニヤーナインドリヤ)と、
それに呼応する行動機関(パンチャ・カルメーンドリヤ)
「パンチャ」とは”5つの”という意味です。
中国の五行説も秦の頃より始まるとされるが、六派哲学の方がもっと古い。
このヒンドゥーの5つセットと五行論との相関も面白い。

薬師寺にいけばその奥の玄奘伽藍に導かれます。
この寺には”ゴータマシッタールタ(गौतम सिद्धार्थ)のお骨”と
”玄奘三蔵のお骨”の両方が在るのです。
薬師寺の宗派は法相宗。
玄奘と共に訳に励んだ慈恩大使が開祖となる。
遣唐使で渡った道昭が慈恩大使と共に玄奘より唯識論を学び、
日本にて唯識論を広める法相宗として寺院にて勤めを果たします。
唯識とは「この世の全ては心の働きによって成り立っている」との事。
インド哲学から考えれば極めて興味深い。
ゴータマ・シッタールタ、薬師如来、玄奘三蔵と凄い面子が揃っておられます。
東は青だし、5つセットはあるし、
中医学の哲学の中に、どんな影響があったのだろうと考えると今後の学びが楽しみです。
中医学で生きる人間がヨーガを学んでいる途中、
玄奘の天竺への旅を見せられると、
医王如来に「玄奘はインドに来たよ。」と言われた様に思えました。

追記
姉から数十年前に中国からの土産として貰った仏像があります。
今、見返すと薬師如来でした。。
【参考文献】
・『仏像とお寺の解剖図鑑』スタジオワーク
・『お薬師さまと生きる』安田暎胤
・『玄奘三蔵と薬師寺』薬師寺
・『もっと知りたい 薬師寺の歴史』藤岡穣・安永拓世・金子隆之
・『ヒンドゥー教の本』(株)学習研究社
・『新版 インテグラル ヨーガ』スワミ・サッチダーナンダ
・『五行大義』中村璋八

