脾の弱り、失運や湿盛。

症状(ごく一部)などは、
食欲不振、軟便や下痢、悪心嘔吐、浮腫、気持ちの落込み等。

生物も機械も、動くための材料がなければ発動しませんが、
日々我々は、何から燃料を作るのか?

一つは空気であり、一つは飲食物。
中医学上、空気から得られたものは、「宗氣」と呼ばれ、
肺蔵が主たる役割を果たします。
飲食物は脾蔵が”転化”して「水穀の精微」と生まれ変わります。
これは「氣・血・津液」の原材料となり、
生成する脾は、「氣血生成の源」といわれています。

脾は「水穀の精微」への”転化”と、
各臓に”運ぶ”生理作用を合わせて『運化』と呼ばれ、
その病理が「脾虚失運」。
身体を動かす材料に停滞をきたします。

適量の水は生きる源ですが、
排泄しきれない過剰な水は氣機の妨げとなります。
運化の失調では、水湿の停滞もおこり、
このオーバーフロー状態が「脾虚湿盛」。


脾の養生を金匱要略より学びます。

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金匱要略
臓腑経絡 先後病脉証 第一

『金匱要略方論 3巻』
所蔵:京都大学附属図書館

「~夫治未病者.見肝之病.
 知肝傳脾.當先實脾.
 四季脾王不受邪.即勿補之.~」

「~未病を治するとは、
肝の病を見て、脾に伝わるを知り、
あらかじめ脾を補しておくことをいう。
四季の脾はさかんにして邪は受けず、

すなわち補うことなかれ。~」

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『金匱要略』の最初、
良い医者は・・とのくだりの所ですが、
「肝の病より脾への伝播をよく考えなさい。」との話より
「四季(土用)の脾はさかんなので、充足の必要は少ない」との部分。

土用とは節分(立春・立夏・立秋・立冬の前日)を含んだ前18日間。
治療するターゲットとタイミングに対する注意です。

「土用の丑の日にウナギを食べる習慣」は
平賀源内(1728-1780)の策との説があります。

蘭学者のマーケティング戦略、
『本日土用丑の日』というキャッチコピーに乗るのも良いですが
”足し算の滋養”では無く、”引き算の滋養”ではいかがでしょうか。

結局、当たり前の着地点になりますが、

・甘味を控える。
・飲酒を控える。
・暴飲暴食をさける。
・就寝前の夜食を控える。
・飲み物を、冷たい物より温かい物に変える。

コストは掛かりません。


【参考文献】
・『中医病因病機学』
・『中医弁証学』
・『新版 東洋医学概論』

【画像】
『金匱要略方論 3巻』
所蔵:京都大学附属図書館
※本文の画像:P8
◇京都大学貴重資料デジタルアーカイブ
 https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/

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